医学部保健学科

お知らせ

大学院保健学教育部長/医学部保健学科長から卒業生・修了生へのメッセージ

保健学科卒業生144名、博士前期課程修了生19名、後期課程修了生2名の皆様、誠におめでとうございます。長い間、皆様を温かく支え、励ましてくださったご家族の方々にも心からお慶びとお礼を申し上げます。新型コロナウイルス感染症拡大のため、卒業証書・修了証書を直接、手渡せなかったことは、私たち教職員にとっても残念なことです。

今年、保健学科を卒業される皆様は、大学入学早々、熊本地震に遭遇し、勉学や生活への影響を受け、精神的に落ち着かない不安な日々を経験されました。熊本県内では、未だ仮設住宅での生活を強いられている方もいらっしゃいますが、復旧・復興作業が進んだ今、街中の風景は地震直後と大きく変わりました。皆様も大学生・大学院生としてのさまざまな苦労を乗り越えて、今ここに、熊本大学卒業・修了という立派な芽を出すことができました。その一方で、自分が歩む未来に希望と不安を抱いている人もいるでしょう。これから先、今まで以上に困難なことが待ち受けているかもしれません。それは、正に成長している証だと思います。花を咲かせ、実を結ぶためには、しっかりとした根を張ることが大切です。根を張っていく場は、柔らかい土もあるし、硬い石もあります。調子よく進むときもあれば、壁にぶつかるときもあると思います。そんな時でも、ひたむきに努力を続けて、いつか硬いところを通り抜け、花を咲かせてほしいと思います。武田信玄は、「一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳ばかり」と言っています。本気で取り組めば、必ず手に入れられるものがあります。成長する力があることを信じ、自分に与えられた使命に一生懸命取り組んでください。

さて、地球規模での経済の先行きへの危惧、それに伴う社会システムの変革等によって、保健医療福祉のシステムも急速に変化しています。情報機器の発達により、いつでもどこでも、簡単にさまざまな情報にアクセスできるようになりました。メールや携帯電話が主要な伝達の手段となっています。医療の場においても新たな知見や技術が次々と登場し、刻々と変化しています。これからはロボットや人工知能が多くの仕事を代行できるようになり、人と人とのお互いの顔が見えなくなるかもしれません。しかし、テクノロジーのみで質の高い医療を提供することはできません。科学の発達した今日だからこそ、目に見えるもの、聞こえてくることを「本当だろうか」と疑ってかかる姿勢が大事です。今、動いている社会に目を向けながら、さまざまな人と交流を持って多様な考えを知り、その中で判断し、行動してください。

最後に卒業生・修了生の皆様にお願いがあります。卒業証書・修了証書は熊本大学における今までの学びと今後の人生をつなぐ、大切な証しだと感じております。これから社会で獲得する経験や知見は個々の成長にとって大事なものだけでなく、本学をより良くするためにも大変貴重なものです。卒業生・修了生だからできること、あるいは卒業生・修了生にしかできないことを通して、将来の熊本大学医学部保健学科並びに大学院保健学教育部を一緒に作りあげ、発展させていただきたいと思っています。明日からの人生でいろんなことに挑戦していくことになりますが、是非、地域、日本、そして世界のいろいろな課題解決に立ち向かう高い志を常に持ち、本学で学んだ専門的知識・技術・能力に磨き続けてください。

皆様の輝かしい未来を祈願し、卒業・修了に際してのはなむけの言葉とさせていただきます。

大学院保健学教育部長/医学部保健学科長  前田 ひとみ