保健学科長メッセージ
ご挨拶
本学科の歴史は、明治31年に開設された私立熊本医学校附属医院看護学講習科を出発点とします。伝染病などへの対応のため全国的に看護師の短期養成が拡大されていた当時、先駆的な看護師養成機関としての役割を担ったスタートでした。その後、保健学分野の専門化と細分化が急速に進み、高度な専門知識と技術を有する専門職の養成が社会から強く求められる時代が訪れ、昭和39年に設置された医学部附属衛生検査技師学校、昭和40年に設置された医学部附属診療エックス線技師学校を統合する形で昭和51年に熊本大学医療技術短期大学部が誕生します。以後、国内外の幅広い分野、領域で活躍する多数の卒業生を実社会に送り出したこの短期大学部が、教育学部特別教科(看護)教員養成課程と合併し、平成15年10月に設置されたのが現在の熊本大学医学部保健学科です。さらにその後、大学院保健学教育部として平成20年に博士前期課程 (修士課程)が、平成22年には博士後期課程が設置され、医科学・保健学研究の基礎を身に付ける場も提供しております。
本学科への入学者が将来目指すであろう医療従事者、医療・医学に関わる研究者・教育者には、医の倫理に基づく豊かな人間性とともに、確かな医学的知識、医療技術を持つことが義務付けられます。絶え間ない学びを怠ることが、患者や一般市民の生命、あるいは生活の質 (quality of life: QOL) を脅かすことに直結するのです。タスク・シフト/シェアの方針のもと、チーム医療への貢献や医療の均一化・適正化に努めることが求められるうえ、高齢化社会におけるハイレベルな予防医療・先制医療、あるいは在宅医療の提供、人工知能 (artificial intelligence: AI) や医療デジタルトランスフォーメーション (DX) に関する知識を要求されるのも、現代の医療業界の特徴です。伝統の上に培われた教育の「受け手」に留まることなく、広く社会情勢に精通し、能動的に総合医科学の知識やリサーチマインドを向上させる意気込みがなければ、現代の新しい医療環境に対応可能な医療従事者に成長することは不可能です。
人を愛するために学びを愛する人間が、人への深い思いやりと医学・医療への熱意、最先端の総合医科学的知識を併せ持つ人材に成長する場として、熊本大学医学部保健学科、ならびに熊本大学大学院保健学教育部をご活用いただけますことを、私ども教職員一同心より願っております。出でよ!未来の医学界・医療界を担う人材達。
大林 光念
熊本大学大学院保健学教育部長・医学部保健学科長